News Release
平成16年5月10日
 「港湾・沿岸域における風力発電推進研究会」
■ 報告書審議委員会開催結果について

港湾・沿岸域における風力発電推進研究会は、立地計画分科会と建設技術分科会の2つ
の分科会のもと、5つのWGに分かれて環境・技術両面から検討を進めており、平成16
年度研究活動の成果取りまとめに向け、報告書の内容を審議するため報告書審議委員会を
開催した。
■報告書審議委員会(第1回)
■報告書審議委員会(第2回)
報告書審議委員会(第1回)

●日 時:平成16年10月1日(金)14:00−17:00
●場 所:東条インペリアルパレス
●出席者:(敬称略50音順)
【特別会員】 清宮副分科会長、下迫委員、関田副分科会長、永井委員、
長井副分科会長 林委員、米山委員   計7名

【正会員 】 21社

【オブザーバー会員】 国土交通省港湾局

(1)委員会出席者のご紹介
(2)本日の議事について
(財)沿岸技術研究センター白石部長から議事内容と進行に関する説明を行う。
今回は建設技術分科会(荷重WG、構造WG、施工WG)の成果報告を中心に審議し、次回(10/8)は立地計画分科会(プランニングWG、環境評価WG)の報告について審議を行う。
以降 建設技術分科会 関田副会長の司会により議事を進行する。
(3)議  事
1.荷重WG
荷重WG幹事より、報告書目次(案)にそって検討方針や記載事項の説明がなされた。
 (全 般)
波力の考え方において、浅い海域と沖合など水深が深い場合と区別し明記したほうが良い。(モリソン式など)
衝撃波や背後に防波堤がある場合の波力、防波堤からの透過波などの考え方も言及したほうが良い。(状況に応じて実験なども必要)
波力(洗掘など)については海外の知見・文献を調べる。(最近の国際会議で発表)
波の有限振幅性についても明記した方が良い。
誤字、脱字を修正すること。 例)海水密度、Hmax'
風速分布は実測データがある場合の条件設定について明記したほうが良い。
荷重の組合せは異常時(地震時)においても波荷重を考慮したほうが良い。
(ただし同時発生の確率が小さいため、波荷重、風荷重とも△)
海洋構造物設計指針(固定式)−参考例について荷重係数(地震時 風荷重0)の確認を行うこと。
疲労設計における風と波の方向性をどう考慮するか。同方向の場合を原則とするが、場所によっては方向が明らかにずれるケースもある。
固有周期が影響するが、周期が短い場合は簡便手法で良いと考える。
一次設計は簡便手法を採用する内容で良いと考える。
海底地盤特性によって影響が変わる場合がある。(Blythの計算例など)
 
2.構造WG
構造WG幹事・副幹事より、報告書目次(案)にそって検討方針や記載事項の説明を行い、審議事項を中心に討議する。
 (全 般)
報告書の構成として、各WGごとになっているが、再構成が必要と考える。
例えば水産協調型の検討については独立の章してはどうか。(洋上風力発電施設への推奨を提起する)
荷重WG・構造WGの内容で関係する部分についてはすり合わせたほうが良い。
各基礎構造による適用性の◎○について見直ししたほうが良い。
 
 (基礎への要求性能)
要求性能をまず整理したほうが良い。例えば、傾いたときに何が問題となるか。(発電効率、ブレードとタワーの接触など)
海外でもあまり明確な値がないようである。(あくまで経験値)風力発電施設の構造上の目安値は風車メーカーからヒヤリングしたものであり絶対的な値ではないと考えられる。
 
 (重力式基礎のマウンド変形について)
基礎沈下についても、わずかであればスペーサーなどで調整できる。対処方法を明記した方がよい。
風車の傾きについて、道路橋示方書に準じる必要はないと考える。
 
 (モノパイルの設計法について)
深礎杭の考え方で問題ないと考える。
 
 (動的問題)
共振については、個々の固有周期をずらすこと、固有周期の確認が必要と考える。
疲労損傷とも関係するため、風車の回転速度は遅い方が良いと考える。
疲労照査を行うためには大きな労力が必要となる。静的計算を主とし、その結果で固有周期との同調などの可能性がある場合について、動的解析→疲労照査という考え方を基本とする表記で良いと考える。
変動荷重(風、波のスペクトルから時系列算出など)を考慮した解析は可能だが、同じく設計の際の労力が大きい。また日本では、強さだけでなく方向の変動も影響があると考えられる。(ただし知見やデータは不足)
あくまで設計の基本は静的解析(定常外力に対する変位に応答倍率をかけた値)を用いる解析手法で良いと考える。
耐震検討はレベル1の照査で充分と考える。(一般施設としてのとらえ方)
液状化の影響も条件によってはあるが現時点は注釈で良いと考える。
 
3.施工WG
施工WG幹事より、報告書目次(案)にそって検討方針や記載事項の説明を行い、審議事項を中心に討議する。
日本の場合、大口径杭(4m以上)打設に対して専用作業船がないため、洋上施工に向けた課題としてあげられる。
 (施設の撤去)
構造物として限界となる時期(ひび割れや音などによる損傷具合調査による寿命の判断など)が撤去時期としては適当と考えられる。
国際法(ロンドン条約)などで撤去が求められるため言及することは必要であるが水産協調施設として残置させるなど、あまり後ろ向きの表現にならないように留意したほうが良い。
 
 (海底ケーブル)
メインテナンスの問題や事業費に占める割合も大きいことから、独立した章として記載したほうが良い。
 
4.報告書の審議全般について
本委員会での指摘事項をふまえ再検討する。
用語の統一、章立てについても再整理を行うこと。
次回10/8の審議委員会(立地計画が中心)での審議結果も含め、特別会員・正会員の中で報告書原稿について、意見や助言を広く受け付ける。(10月末をめどに事務局へ提出)
 
5.開催後の指摘事項
6章 基礎構造設計手法の中で、浮体式についても簡単な説明をいれたほうが良い。係留施設の設計のため、浮体構造物技術マニュアルや港湾基準の参照記載で良いと考える。
7章 施工ではサクション基礎や鋼管矢板式基礎もとりあげられている。  6章 構造では取り上げていない内容のため、項節の構成や並びかえをふくめ整合性をとったほうが良い。
水産協調の独立章について→洋上風力発電の効果・活用 のタイトルはいかが。
海底ケーブルについて参考文献の紹介や課題についての助言あり。
5章 風荷重について(鉛直分布のべき乗則仮定など)、参考文献の紹介及び瀬棚での計測結果について記載してはどうかの助言あり。
プランニングにおいて、ジャストポイントの長期間の風速データを得ることは困難である。少し離れた風観測データを用い、局所的な風況変動を考慮、発電予測をおこなった文献について紹介あり。(3章プランニングの内容に引用できるのでは)
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報告書審議委員会(第2回)

●日 時:平成16年10月8日(金)14:00−17:00
●場 所:東条インペリアルパレス
●出席者:(敬称略50音順)
【特別会員】 牛山分科会長、窪内委員、関分科会長、永井委員、
長井副分科会長、灘岡副分科会長、林委員、古川委員、
米山委員   計9名

【正会員 】 20社

【オブザーバー会員】 国土交通省港湾局

(1)委員会出席者のご紹介
(2)本日の議事について
(財)沿岸技術研究センター白石部長から議事内容と進行に関する説明を行う。
今回は立地計画分科会(プランニングWG、環境評価WG)の成果報告を中心に審議を行う。
以降 立地計画分科会 牛山会長の司会により議事を進行する。
(3)議  事
1.プランニングWG
プランニングWG幹事より、報告書目次(案)にそって検討方針や記載事項の説明を行った。
 (全 般)
本報告書における対象風車のサイズを明らかにするほうが良い。
外的荷重条件の調べ方なども説明に加えた方が良い。
各WG間で項目などについてすりあわせ・調整すること。
プランニングで提示する検討項目が、以降の章にどう関連するのかについて明記した方が分かりやすい。
本章では適地選定の流れや内容が分かる構成が必要である。
環境影響評価や自然条件の記述の抜け、図番の記載についても今後留意すること。
 
 (系統連系)
系統連系に関するガイドライン、電力会社との調整について説明した方がよい。
 
 (雷)
冬季雷と夏季雷での特徴や違いを明記したほうが良い。
風車の回転を止めた場合、雷が落ちないという現象もある。
雷による被害は、ブレードなどから通信系統への影響も発生している。
沿岸域での雷の特徴や可能であれば日本海側での事例も調べた方が良い。
海外事例ではノルウエーなどで雷の影響があるのではないか。
 
 (運用・保守点検)
廃棄の問題も明記した方が良い。
 
 (風 況)
海風の特質について調べた方が良い。
風況マップには地域性が考慮されていないことを明記した方が良い。
 
 (ローカルな電力の活用方法)
蓄電容量や無風時における外部からの電力導入について明らかにした方が良い。
発電容量の大小にともなう関係機関からの補助制度や利用施設の仕分け・整理を行う予定である。
 
 (法規制)
港湾に該当しない海域における取り組み・規制が整理できていない。
小型風車(ブイ)の事例では、海上保安庁の許可が厳しいようである。
RPS法(電力会社への要求)について書き過ぎないほうが良い。
 
 (その他)
洋上と陸上の全体コストの割合において、誤解を招かないように注釈や表記内容に留意する。
 
2.環境評価WG
環境評価WG幹事・副幹事より、報告書目次(案)にそって検討方針や記載事項の説明を行い、審議事項を中心に討議する。
 (環境影響評価)
環境影響評価の位置づけ、どの項目・評価手法が必要なのか、港湾・沿岸域に特化して記載した方が良い。
評価項目と評価手法の間に判定基準を明記した方が良い。
 
 (瀬棚港における水中音圧の計測結果)
今後、周波数解析を行い、周波数ごとの音圧を分析する予定である。
現状では、水中音レベルと風速に相関が見られない。防波堤外の波による音などの影響が大きいものと推測される。
海外でも水中音圧の事例や明確な計測方法は決まっていないようである。
大気中の音計測についてはIECにも基準がある。
港湾及び沿岸域では、音レベルについて規制の対象外となることが多い。
大気中の音計測結果については今後とりまとめを行う予定である。
 
 (瀬棚港における水生生物の計測結果)
風車設置前と設置後での評価が重要である。
 
 (水産協調)
アメニテイ向上や環境教育の場、港湾空間の高度化への視点も重要である。
 
 (全体構成)
大局的な環境影響評価を視野に入れ、記述内容を構成すること。
事例や景観を含め、ポジテイブな書き方が重要である。
第2章については、風力発電の場としての港湾空間の優位性や風車事業の創出などアドバルーンとなるような記述内容とする。
事務局で今回の審議委員会の意見を反映し章構成の見直しを含め、各WGと再調整を行う。
許認可が必要となる項目は、陸上に比べ海上が多くなるのではないか。
港湾以外の海域において法律や認可の制度が明確でない。今後洋上への展開にむけて具体的な検討(実証実験など)を行えば、問題点や課題がより明らかになるのでないか。
 
3.今後の審議委員会について
10/1,10/8の審議委員会での審議結果も含め、特別会員・正会員の中で報告書原稿について、意見や助言を広く受け付ける。(10月末をめどに事務局へ提出)
全体をまとめた審議委員会を平成17年2月頃に開催予定である。
 
4.開催後の指摘事項
全体を通して整合性が取れ説得力のある報告書とするために、重点箇所を集中的に検討するための作業ミーテイングやスーパーバイザーが必要と考える。
作業ミーテイングを12月頃に開催してはどうか。その際には、第2章についても審議できるよう資料を準備して欲しい。
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