我が国では洋上風力発電設備の導入が進められていますが,大規模な洋上風力発電設備を建設した事例はほとんどありません.このため,先行する海外の設置事例や技術的知見,また我が国の港湾区域内における設置事例や外洋での海洋鋼構造物の事例等をふまえ,洋上風力発電設備支持構造物の防食工法の設計と維持管理について,通常の港湾区域内の鋼構造物と異なる留意事項や参考となる技術情報を整理する必要があります.
そこで,一般財団法人沿岸技術研究センターと電気防食工業会が洋上風力発電設備支持構造物の防食工法に関する共同研究を実施し,腐食と防食工法の技術の現状と主な課題について調査し,その成果を「洋上風力発電設備支持構造物の防食工法テクニカルレポート」としてこの度とりまとめました.
腐食と防食工法上の主な課題として,外洋における洋上風力発電設備支持構造物の腐食特性および腐食にかかわる影響因子がまだ十分に解明されてないことや,国内の洋上風力発電設備に対する防食工法の適用事例が少ないことがありますが,本テクニカルレポートは,関係者間でこれらの情報を共有することを目的としています.今後,適用実績や研究成果,本テクニカルレポートの読者からの貴重なご意見を踏まえ,本テクニカルレポートのさらなる内容の拡充を図って参ります.
○ | 第T部 総論 |
・ | 第1章 総説 |
| 本書の目的,構成,対象を記載 |
・ | 第2章 用語の定義と解説 |
| 洋上風力発電設備支持構造物に関連する用語の定義,腐食と防食に関する用語の解説,略号を記載 |
・ | 第3章 洋上風力発電設備支持構造物およびその他の海洋鋼構造物の防食実態 |
| 国内の洋上風力発電設備支持構造物,その他の海洋構造物に関する防食実態,腐食や防食の参考となる観測施設や暴露試験の結果について文献調査の結果を整理 |
・ | 第4章 鋼材の腐食 |
| 第U,V部の内容を理解するために,最小限必要な腐食の原理ならびに海洋環境下での腐食特性について記載.洋上風力発電設備支持構造物の腐食と防食に関する課題を抽出し,現時点の知見を解説 |
○ | 第U部 防食法の設計・施工 |
・ | 第1章 概説 防食法の分類,電気防食,被覆防食,腐食しろについて概説 |
・ | 第2章 腐食環境と適用防食法 国内規格,海外規格について説明 |
・ | 第3章 電気防食 電気防食の選定,設計手順,設計条件,設計上の留意点,施工,実績について記載 |
・ | 第4章 被覆防食法 適用範囲,塗装仕様,設計上の留意事項,施工,実績について記載 |
・ | 第5章 腐食しろ法 腐食しろ法の設計,設計上の留意点について記載 |
○ | 第V部 防食の維持管理 |
| 一般事項,電気防食の点検診断,被覆防食の点検診断,維持管理における留意点,維持管理体制と資格について記載している. |
○ | 第W部 付属資料 |
・ | 付属資料1.設計フロー |
| 国内規格と海外規格に関する設計手順を紹介 |
○ | 付属資料2.電気防食の設計例 |
| 国内規格と海外規格に従って,電気防食の設計例を紹介
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実施体制 |
□ | 共同研究者 |
・ | 一般財団法人 沿岸技術研究センター(代表理事・理事長 宮 祥一) |
・ | 電気防食工業会(会長 仲谷 伸人)
(構成員)株式会社ナカボーテック(代表取締役社長 木村 浩)
日鉄防食株式会社(代表取締役社長 萬ヶ谷 鉄也)
日本防蝕工業株式会社(代表取締役社長 佐藤 元彦) |