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20××年8月4日 晴れ

 今日は夏休みの宿題で出た作文を書くために、父さんの働く波力発電所に行くことにしました。父さんの働く波力発電所は、わたしたちの住むエコアイランド島の西港にあります。西港は、ソーラーカーで30分ぐらい。母さんのかわりについてきてくれたミサキ姉さんの運転が乱暴なので、ちょっと怖かったです。
 西港につくと、父さんはさっそく私たちを港からつきでた大きな防波堤につれていってくれました。 「こんな海のどこに発電所があるの?」と聞くと「マリンの足の下が発電所だよ」と言われてびっくり。波力発電は、なんと防波堤の中に作られていて、この防波堤にうちつける波の力を利用して、電気を起こすんだって。毎日打ちつける波を防ぎながら電気も作るので、そういうのを「一石二鳥」と言うのだとミサキ姉さんが教えてくれました。
 また、西港を見下ろす西岬には大きな大きな白い風車が何本も立っています。「あれなに?」って父さんに聞いたら、海から吹き付ける強い風を利用して電気を起こす風力発電所なんだと教えてくれました。他にも自然の力を利用した発電方法は、マリンの家の屋根にもついている太陽光発電はもちろん、潮の流れや温度差を利用した発電方法なんかも研究されているんだって。
 こういう環境への影響が少ない発電方法は、これからも増えるんじゃないかと、父さんはちょっと自慢げです。でも、台風が来ると、夜中でも発電所にとんでいく父さんは、やっぱりえらいなあと思います。


 帰りは、発電所のすぐ近くにある「ビオトープ公園」にいきました。
 ここは、港をつくるときに出た土や砂でつくられた人工の干潟や、沼、自然のままの林や草原が広がっています。この公園では、自然をそのままのカタチで保つようにしてあって、ボランティアの人たちがいつも見回って管理をしているので、魚や貝、鳥たちの大切なすみかにもなっているんだそうです。
 干潟には、アサリやハマグリの他にもたくさんのめずらしい貝殻がいっぱい。一生懸命に貝を取っていると、頭の上を海鳥たちが飛んでいきます。
 公園の中のバードサンクチュアリには、冬には海を越えてたくさんの渡り鳥がやってくるんだって。冬休みになったら、弟のミナトも連れて来ようよ、ミサキ姉さん!
 干潟で捕ったアサリやハマグリは、母さんに料理してもらうつもり。家で待ってるミナトへのおみやげに、人工磯でみつけた小さなヤドカリもつれて帰ることにしました。今日はおいてきぼりでちょっとかわいそうだったからね。




 

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